芸の道ははてしなく
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えっ?あれ、アルスじゃないの?
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大好きだったあの手。

ごつごつして、ざらざらしていたけれど、
ふれているのが心地よかったあの手。

春の日のおひさまのように、
小さかったボクの手を温めてくれていたあの手。

今はきえてしまったあの手。



兄さん!
早く起きて、ご飯食べちゃってよ!
ボク、出かけられないでしょ!
のそっとふとんから顔を出す兄さん。
後で食べるから、そのまま置いといてくれ。

そんな事いって、兄さん、
放っとくと何も食べないじゃない。
無理やりふとんを引き剥がすと、
兄さんはあきらめたようにベッドを降りて台所へ向かう。

テーブルの上の、すこし焦げたハムピヨを一瞥すると一言。
おまえ、調理スキル取っていないっていっても、
女なんだから、もうちょっと料理の練習した方がいいぞ。

うるさいなぁ。
女性は料理を作るもの、なんて考え方、古いよ。
それに、ボクの料理に文句があるなら自分で作ればいいじゃん。
確かに、ボクの料理は酷い。
そして、兄さんの料理の腕は最高だ。
いや…この場合、最高だった、というのが正しい。
兄さんは、料理をすることをやめてしまった。

最後に、兄さんの料理をたべたのはいつだっけ?
あれは、兄さんが最後の狩りに出かける前だったから、
もう何年も前のことだ。

あの狩りで何があったのか、ボクは知らない。
兄さんに尋ねても、答えが返ってきたことがないから。

兄さんは鍛冶士だった。
もっとも、その道に入ったのはかなり歳を重ねてからだから、
それなりの苦労があったんだと思う。
でも、ツライそぶりを見せることもなく、毎日の修行を重ねていた。

そんな兄さんが、ハンマーを肩に背負って出かけていく後ろ姿が、
ボクはとても好きだった。
その背中は、とても大きくて、
どんなものでも背負っていける、そんな感じがしたから。

食べ終わったら、食器はちゃんと水につけておいてよ。
そう言って、カバンを背負いながら出かけようとすると、
こぼれ落ちる一枚の羊皮紙。

ボクが拾おうとすると、兄さんが先に拾ってボクに差し出す。
羊皮紙の上をさまよった兄さんの目が、急に鋭さを増した。
これ、ライムのテオ爺さんの依頼書じゃないか。
カメレオンの皮を15枚なんて、今のおまえには無理だろう。

そんなの知らないよ。
タランチュラクイーンを倒してたら、偶然拾ったんだから。


カメレオンの皮は、リザードマンを倒して手に入れるか、
グラシス川下流の木から採るか、そのどちらかだ。
どちらも今のおまえのじゃあ無理だ。
その依頼書は、見なかったことにして捨てるんだな。

やだよ!
リザードマンは無理にしても、採集だったらボクでも出来るじゃない。


採集だけならともかく、あそこのバイルは強すぎる。
襲われたら、おまえ一人じゃどうにもならないだろ。

じゃ…じゃぁ、一緒に来てよ。
二人なら、一人が採集してる間に、もう一人が見張りをすれば。
そうすれば…
ボクは、その言葉を最後まで言うことが出来なかった。
兄さんが、その場に崩れるように座り込んでしまったから。
オレは…もういいんだよ。
ボクは気が付くと、家を飛び出していた。
耳に届いた声の響きは、ボクにとってとても悲しかったんだ。
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by chiboru | 2008-06-04 23:32 | 鍛冶娘のひとりごと | Trackback | Comments(0)
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