芸の道ははてしなく
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えっ?あれ、アルスじゃないの?
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あるきはじめる

ほうっと魔法士がためいきひとつ
目のまえの左右に伸びる道を見つめます

まだ、あの人の姿は見えません


傍らの杖をながめながら
あの人に話した、魔法士が歩き始めた理由を思い返します
それはとても小さいけれど
魔法士にとって、とてもだいじなものでした

その言葉を伝えたときの
あの人の言葉が耳の奥で響きます

僕もがんばる
キミもがんばれ

魔法士は空をみあげます

がんばる

あの人は、どこかでがんばってる
それは、この道の遙かうしろかもしれないし
全く別の道かもしれないけれど

がんばれ

わたしは、待ち続けているだけ
あの日、あの人に話したことは嘘ではないけれど
わたしの中で埃にうもれて光を失いかけている

魔法士は傍らの杖をぐっと握りしめます



魔法士が歩いてきたほうから近づいてくるふたつの声
ひとつはとても聞き覚えのある声
それは魔法士よりもずいぶんあとに歩き始めた妹の声

あのこも長いこと一人で歩いていたけど
いっしょに歩いていく人をみつけたのね

聞こえてくる声がここにくるまで、まだまだ時間がかかりそう
けれども、それはそんな遠いことではなさそうです

追い抜かれるのもくやしいわね

そうつぶやきつつ
さほど気にしているようでもありません

傍らの杖を道につき
すっと道のうえに立ち上がり
服をぱんぱんとはたきます

服についた埃をおとすため
自分をしばりつける錆びついた思いをおとすため



うーんと魔法士がのびをひとつ
ゆっくりと道をあるきはじめました
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by chiboru | 2009-06-01 22:19 | ぼんやり魔法士